ガソリンスタンドに真新しいシルバーのセダンが滑り込んできた。ブラジル・アマゾナス州マナウスの街角。口ひげをたくわえた従業員が給油口を開けると、ふたに「ガソリナ/アルコル」と併記されていた。「きょうもエタノールかい」。従業員の問いかけに運転手はうなずいた。ブラジルではありふれたやり取りだ。
10メートルはあろうかという樹木の木陰で、つややかな緑色をした葉の間にカカオの実が下がっていた。ブラジル北東部パラ州の町トメアス。世界の熱帯地域で営まれている「アグロフォレストリー(森林農業)」の先進地として知られる。
1969年、ブラジル・アマゾンの原生林で1台のトラクターが原野を整地していた。「一寸法師が鬼に立ち向かっているようだった」。アマゾナス州の州都マナウスにあるアマゾナス日系商工会議所の会頭を務めた山岸照明さん(76)は、その光景が今もまぶたに焼きついている。
コーヒーの海が広がるような茶褐色のアマゾン川が悠然と流れる。縦横に立体交差した道路を走る通勤バスに揺られ、ナタリア・エウザさん(24)は郊外の工業団地へ向かっていた。赤道直下に180万人が暮らすアマゾン最大の都市マナウス。密林に浮かぶ島のようにビルが建ち並び、フリーゾーンと呼ばれる経済特区として“ブラジルの工場”の役割を担う。
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