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希望大国ブラジル(その26) 日伯の懸け橋 変貌する「もう一つの日本」

 時のかなたから聞こえてきたような、か細い日本語だった。ブラジル南部パラナ州の田舎町ホンカドルで暮らす日本人移民の池上俊光さん、87歳。
 「わたしは名古屋の中心地に生まれました。父親は理髪店をやっていた。だいぶん昔のことです」
 12歳だった昭和10(1935)年、一家で海を渡りコーヒー農園で働いた。土地を買って移り野菜を作った。
 「カフェ摘みの仕事は大変だった。早く言えば奴隷扱い。苦労しましたよ」
 質朴な寝室の薄青色の壁に昭和天皇と香淳皇后、皇太子時代の天皇、皇后両陛下、そして父母のモノクロ写真が額に入れられ、上から順に飾られていた。
 日本へは一度も帰国していない。帰りたくないかと尋ねると、「ひと苦労しました」と繰り返した。傍らで妻の2世、ツヤコさん(79)が話した。

希望大国ブラジル(その25) 親日か親中か 中国にない「半世紀のパートナーシップ」

ブラジル娘が身につけるビキニの水着に「メード・イン・チャイナ」が急増している。ブラジル開発商工省の統計によれば、中国製の女性用水着の輸入は2010年、98万ドル(約7840万円)と2年前の3倍。輸入水着の91%を占めた。
 ビキニはブラジルのいわば「地場産業」。サンパウロのビキニ工房で働く日本人女性、藤田悠貴さん(34)は「白色が人気だが、中国製は裏地が薄くて透けてしまうとの不満を聞く」と話す。

希望大国ブラジル(その24) プレステ買いにマイアミへ 「ブラジルコスト」という課題

ミッキーとミニーがショーウインドーで満面の笑みを浮かべる。その脇に「パラ・マイアミ(マイアミ行き)」の2語。ブラジル・サンパウロの巨大ショッピングセンターにある旅行代理店を訪ねると、米フロリダ州のディズニーワールドの写真に出迎えられた。
 女性店員のレナン・ウズエレさん(23)は「海外旅行の7割はフロリダ。ディズニーと安い買い物が人気の理由です」と話す。

希望大国ブラジル(その23) 中間層拡大で「お受験」過熱 デジタルデバイド課題

 扉の柵を握りしめ、子供たちは迎えを待っていた。ブラジル・サンパウロ市の私立小学校。午後5時の下校時間に扉が開くと、ルイ・ペドロゾ君(9)は往来に隙間なく止まった車の中から母親の車を見つけ出し、急いで乗り込んだ。
 母親のジュリアさん(46)は「下校時は駐車のため場所取り合戦が始まる。よい教育にはお金と手間がかかる」と話した。

希望大国ブラジル(その22) 「神の街」を訪ねて 悪名高きスラム、様変わり

家に家を継ぎ足した不法建築が丘を埋め尽くし、その上にそびえる「コルコバードのキリスト像」が祝福を贈るかのように街を見下ろす。ブラジル・リオデジャネイロの「ファベーラ」と呼ばれるスラム街。この街で育ったジルソン・シルバさん(32)は「あのままだったら確実に死んでいた」と胸へ手を当てた。
 13歳で強盗グループへ入った。仲間の多くは死に、自身も2回逮捕された。投獄中に恋人がわが子を産み、人生が変わった。昼間働き夜学の高校、専門学校を卒業した。現在はスラムの観光ガイドをしている。

希望大国ブラジル(その21) 日本へ来ないサッカー選手 経済成長で「純輸出国」に異変

ブラジル全土が動向を注視する人物がいる。それは予想外とされた利下げを行った中央銀行総裁ではなく、先月にがん克服を宣言したルセフ大統領でもない。「カナリア軍団」の愛称で親しまれ、あがめられ、ときに非難の的となるサッカー代表チームの監督である。
 今月12日、メキシコの都市トレオン。ブラジルはメキシコとの親善試合を2-1で勝利しメネゼス監督(49)は称賛を浴びた。魔術師の異名を持つロナウジーニョ(31)は4年ぶりのゴールを決めた。

希望大国ブラジル(その20) 快走するエタノール車 日本での“迷走”尻目

ガソリンスタンドに真新しいシルバーのセダンが滑り込んできた。ブラジル・アマゾナス州マナウスの街角。口ひげをたくわえた従業員が給油口を開けると、ふたに「ガソリナ/アルコル」と併記されていた。「きょうもエタノールかい」。従業員の問いかけに運転手はうなずいた。ブラジルではありふれたやり取りだ。

希望大国ブラジル(その19) 多様性保つ「森をつくる農業」 アグロフォレストリーの先進地

10メートルはあろうかという樹木の木陰で、つややかな緑色をした葉の間にカカオの実が下がっていた。ブラジル北東部パラ州の町トメアス。世界の熱帯地域で営まれている「アグロフォレストリー(森林農業)」の先進地として知られる。

希望大国ブラジル(その18) 工場増えて森林破壊減った マナウス経済特区

1969年、ブラジル・アマゾンの原生林で1台のトラクターが原野を整地していた。「一寸法師が鬼に立ち向かっているようだった」。アマゾナス州の州都マナウスにあるアマゾナス日系商工会議所の会頭を務めた山岸照明さん(76)は、その光景が今もまぶたに焼きついている。

希望大国ブラジル(その17) 密林に浮かぶ工業都市 マナウス経済特区

コーヒーの海が広がるような茶褐色のアマゾン川が悠然と流れる。縦横に立体交差した道路を走る通勤バスに揺られ、ナタリア・エウザさん(24)は郊外の工業団地へ向かっていた。赤道直下に180万人が暮らすアマゾン最大の都市マナウス。密林に浮かぶ島のようにビルが建ち並び、フリーゾーンと呼ばれる経済特区として“ブラジルの工場”の役割を担う。

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