住宅街で訪問調査
「新興国とひと口に言っても実情は異なる。ブラジルはBRICSの中でも労賃が高く、労働者の権利も強い。中途半端な進出でははね返される」。企業コンサルタントの輿石信男さん(48)はこう指摘する。
大手家電メーカー、ソニーブラジルのマーケティング統括、所鉄朗さん(45)らはC層のニーズを探るためサンパウロの住宅街で戸別訪問を続けている。
「勝つためには負けている部分を徹底的に把握しなければならない」
同社は72年に進出し、薄型テレビは数年前までトップだったが、高級路線がたたり4位へ転落した。所さんはカナダでサムスン電子に勝利した実績を買われ、首位奪還を使命に乗り込んだ。
市場調査員から紹介されたC層宅で、利用する量販店やよく見る広告媒体、月々の支払額などを1時間以上かけて聴く。10年、薄型テレビを前年の3倍売り、シェアを3位まで戻した。
深夜の住宅街。所さんはブラジルたばこ「フリー」を深く吸い込み、こう話した。
「思い通りいかないこともあるが、やった分だけ結果がプラスにもマイナスにも返ってくる。そこがブラジルの面白いところです」
―産経ニュースからー
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