マナウス

アマゾンという名の響きに、ロマンを抱かずにいられない人も少なくないだろう。世界最大の流域面積を有し、「緑の地獄」とさえいわれるジャングルの 中を茶褐色の水をたたえてとうとうと流れる大河。そのアマゾンの真っただ中にある大都市がマナウスだ。人口約180万を超える国内主要都市のひとつでもあ る。アマゾン河中流域の熱帯雨林が広がるアマゾン盆地の東部に位置し、本流ソレモインス川と支流ネグロ川合流点より10km上流のネグロ川河畔にある。 マナウスの繁栄は19世紀末のゴムブームに始まる。アマゾン上流で天然ゴムが発見され、一攫千金を夢見た人達がヨーロッパから押し寄せてきたのだ。空前の ゴム景気で大金を手にした彼らは、ヨーロッパの文化をアマゾンに持ち込んだ。パリのオペラ座を模して造られたアマゾナス劇場では、欧州から一流の歌手を招 いてオペラが上演され、ダンスホールには夜ごとに着飾った社交界の名士が集まったという。 マナウスはブラジルにおける日本人移民の主要な入植地のひとつでもあり、現在では50社ほどの日系企業が進出しており、日本との関わりも深い。世界のゴム の80%を供給してゴム景気に沸き返っていた時代は去ったが、現在のマナウスは一大産業都市として、自由貿易港として、そしてアマゾン開発の拠点として発 展を続けている。 （ダイヤモンド・ビッグ社　地球の歩き方　ブラジル・ベネズエラ編より）